小林:今日は、就職活動をしている学生の皆さんに、メタルワンにおける海外駐在員の実態について伝えるということだけど。

佐藤:こうした対談は慣れていないから少し不安だけれども、僕たちの駐在中の出来事や学んだことを通して、少しでもメタルワンパーソンの仕事について知ってもらえればいいね。
・・・ところで小林とは同期だけれども、意外とお互いの仕事内容までは把握していないよね。

小林:そうだね。今回の座談会は自分たちにとってもお互いの仕事を把握する良い機会かもしれないね。
改めて、佐藤はドバイに駐在していたよね?

佐藤:そうなんだ。入社4年目の2009年10月から2014年8月まで駐在していたよ。フラット製品(板状の鋼材)の取引をドバイで開拓・拡大することがミッションだった。具体的に言うと、住宅の屋根に使用される薄板や、オイル・ガスの貯蔵用タンクなどに使われる厚板の供給を担当していた。ドバイ駐在ではあるけれど、中東からアフリカまで幅広い地域をカバーしていたから出張が年間約40回もあったんだ。

小林:40回はすごいね。僕は入社3年目の2008年から2013年の2月まで、タイに駐在していた。自動車メーカーが新車を開発した際に、その車に使われる鋼材の供給体制、具体的には、試作用の材料手配から量産用の材料手配をルーティーン化するまでを確立することが主なミッションだった。

佐藤:小林はかなり早い時期に海外駐在が決まったけれど、やっぱり自分から「行きたい」って上司に相談していたの?

小林:実は、当時は特に海外駐在を希望していなかったんだ。その頃、担当していたとある某日系自動車メーカーが2年後にタイで新車を開発する予定があった。通常、車のモデルイヤーは約5-7年であり、新車の立ち上げに関わるのは滅多に出来ない経験なので、当時の上司が僕のタイ駐在を推薦してくれたんだ。

佐藤:そうなんだ。僕は早く海外ビジネスを経験したかったから、ずっと海外駐在の希望を出していたよ。ただ、異動は現場のニーズやタイミングの問題もあるから、希望すれば必ず駐在が出来る、という訳ではない。それでも、海外駐在を任せてもらえる様な人材になるために、日々の業務に必死に励んでいたかな。その効果があったかどうかは分からないけれど、ある日上司から「ドバイにいけるチャンスがある」という話をいただいて。その場で「行きます」って即答したのを今でも覚えている。

小林:ドバイはどんな所?あまり馴染みが無い地域だけれども。

佐藤:一般的に想像される「砂漠の国」そのものだった。雨は年に5回ぐらいしか降らず、気温は暑い日になると50℃を超える。あとは、あの超高層ビルが乱立するイメージ通り。小林のタイでの仕事環境はどうだった?

小林:タイの文化は仏教思想の影響を受けたものが多く、文化的にはなじみ易かった。ただ、空港が閉鎖されたり、繁華街で銃撃があったり、洪水で町や工場が浸水したり、いろいろなことがあった。空港閉鎖と洪水の時は仕事にも大きな影響が出てね。あと、年間の平均気温が30℃前後あるから、会社のユニフォームが半袖だったのは楽だったよ(笑)。

佐藤:話を聞くと治安が悪い様に思うけど、危険ではなかった?

小林:確かに騒動があった時期は一部の地域が危険ということはあったけど、基本的には日常生活で身の危険を感じたことは無かったかな。

佐藤:なるほど。ドバイの治安は東京よりも良かったかもしれない。インフラも整っていて、都市機能が非常に充実している。ただ、サービス精神の様なソフト面は、日本の方が遙かに優れていると感じたね。

小林:仕事に関しては、本質は日本にいる時と全く同じだった。新規案件を狙いつつ、既存のビジネスを拡大していく。ただ、若手であるにも関わらずマネージャーとして役職が付いたり、部下が出来たりなど、ビジネス環境の大きな変化はあった。入社2年半の若手に初めて部下が出来て、それが、年上の外国人っていう。

佐藤:若手のうちから部下を持つのはどのような心境?

小林:教えてもらうことばかりで、最初は名ばかりの上司だったよ。そんな状況から、どうやって周囲の人たちの信頼を得るかという点に非常に苦労したね。

佐藤:具体的にどんなアプローチをしたの?

小林:例えば、社内の共通言語は英語だったけど、ナショナルスタッフや現地のお客様と本音で話すためにはタイ語の習得が必須だと思ったから、必死になって勉強した。語学はただのツールに過ぎないけれど、意思疎通を図る上でとても役に立ったし、心の距離も確実に縮まった。あとは行われている業務や問題の中身をしっかりと理解・把握し、それらに対する的確な指示を出すことだと思う。ただ、それでも実際の業務で部下に適切な指示を出せる様になるまでは一年くらいかかった。そこにたどり着くまでが、一番つらかったかもしれない。
佐藤の方は、改めて海外駐在を振り返ってみてどう?印象的なエピソードはある?

佐藤:ドバイの近隣国向けに新規ビジネスの契約を決められたことかな。建造物や家電製品などに使われる鋼材を供給する案件だったんだけど、お客様との取引実績が無かったから、最初は全く相手にされず、話もほとんど聞いてもらえない状況だった。でも、そんな中でも毎日オフィスまで足を運んで、お客様が抱えている課題や、こちらに期待しているものは何かを必死に考えて、お客様に提供出来る価値について説明し続けた。徐々に話を聞いてもらえる様になり、結果として数億円にも上る契約を結ぶことが出来た。商談はかなりハードだったけれど、遠い中東の地で、自分の力で新規案件を獲得出来たことは大きな自信に繋がったよ。小林は?

小林:自分が担当した車を街で見かけた時かな。その案件は、試作用の材料を何度も自動車メーカーや部品メーカーに供給したり、トラブルが発生してスケジュールが遅れたりと色々あったんだ。でも、最終的にその車が街中を走っているのを見た時に、頑張ってきて良かったと心底思えた。

佐藤:駐在中、記憶に残っていることはある?僕は、海外にある駐在員で構成されるコミュニティーで、日本ではなかなか接点のない日系企業の人たちとの交流を深めることが出来たことかな。休日にプライベートで砂漠キャンプにも行ったりと、貴重な経験ができた。間違いなく人脈は広がったし、それが仕事にも活きていると思う。

小林:同感。あとは、駐在を経験して“何をやるにも現場を知ってこそ”ということを理解出来たことかな。そしてその現場が何を考えて、どう行動しているのかを知ることで、「自分たちのビジネスは現場のスタッフの方々に支えられて初めて成り立っているんだ」と、身をもって感じた。そして彼らの将来が、駐在員や東京本社の社員にかかっているという、責任の重さを知ることが出来た。

佐藤:確かに、“当事者意識”というか、会社を代表しているという意識は自ずと芽生えるよね。それに、現場にいるからこそ、生きた情報を扱うことが出来て、鉄鋼メーカーや東京本社から頼りにされる機会も増える。そういった責任ある立場でビジネスを遂行していく環境が、成長のきっかけになっていると思う。ここでの経験は間違いなく今の仕事に取り組む上での自信に繋がっている。

小林:確かにその通りだと思う。駐在先では、商習慣や文化、価値観など全てが異なるから、日本では当たり前のことが全く通用しない・・でも、それをどうにかするために徹底的に考え抜いて、行動に起こしていく過程に成長のヒントが隠れている。それは、どこの国に行っても同じだと思う。個人的には、“郷に入れば郷に従え”という言葉があるけど、「郷に従う」より「郷を好きになる」ことが最も大事だと考えていて、海外駐在はそこからだと思う。

佐藤:また海外に駐在したいと思う?

小林:今、アメリカ・メキシコ・タイ・インドネシア・インドを担当しているけど、チャンスがあるなら当然駐在したい。現地の政治や経済を肌で感じながら現場でビジネスに向き合えることが海外駐在の醍醐味だし、自分が行くことで、そこで行われているビジネスをより良い方向に変えていきたい。言うほど簡単ではないけれど。

佐藤:大変なのは理解しているんだけれど、担当する業務の幅が広いし、日本で経験出来ない様なことがたくさんある。そのような環境で仕事に打ち込むからこそ、達成感はもちろんのこと、自身の成長も感じることが出来る。そして何より、確実に物事の見方や視野が広がると思う。

小林:ところで、佐藤は将来携わってみたい仕事や目標はある?

佐藤:僕は、エネルギー分野の様な、自分が今まで経験したことのないビジネスを担当してみたい。特に、今度は先進国ではなくて、新興国を中心とした国々で、マーケットの開拓や新規ビジネスの獲得に携わりたい。小林はどう?

小林:長期的な目標としては、事業投資会社の立ち上げからその後のマネジメントまでを一貫して担当してみたい。大変だろうけど、チャレンジングな仕事だからね。

佐藤:僕も商社に入ったからには、将来的には経営に携わる様な仕事に挑戦してみたい。メタルワンには事業投資や経営に関わるチャンスが沢山あると思う。

小林:僕もそう思う。メタルワンには、高い志を持って、それに向かって努力出来る人には様々な仕事にチャレンジ出来る環境があると思うから、是非そういう人に来てもらいたいね。今日は話せてよかった。ありがとう。

佐藤:こちらこそありがとう。今後も互いに切磋琢磨して会社を盛り上げて行こう。

第三営業本部 鉄鋼輸出事業部
2006年入社
経済学部卒

大学時代は開発経済学のゼミに入り、代表を務める。また入社後は、主に中国の建設機械メーカー向けの厚板輸出に携わる。その後、およそ5年間のドバイ駐在を経験。帰任後、事業投資案件のマネジメントといった、全社的な視点に立ったビジネスを担当する。営業・管理・駐在などの幅広い経験を経て、現在は中東・アフリカ向けの薄板輸出を担当している。

第二営業本部 自動車鋼材事業部
2006年入社
外国語学部卒

大学時代はバスケットボールに打ち込む傍ら、家庭教師や飲食店でのアルバイトを経験。入社後2年半は、東京本社で主に韓国の自動車メーカー向け取引を担当し、その後、約4年2か月間タイの事業投資会社に出向。本社へ帰任後は、インドやメキシコ等の海外向け取引や新規案件開拓を行う。現在は愛知に勤務地を移し、国内自動車メーカー向け取引を担当。